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布団に横たわるA’を、初対面のNと見守っている。
NはA’の前だというのに私を口説いてきた。私はA’の目を憚って、「外へ出てください」と怒鳴った。Nはニタニタしながら部屋を出た。
私はA’の耳元に唇を寄せた。
「お加減はどうですか?」
「よくない。全くよくない」
A’は不貞腐れたように言った。
そんなA’が愛おしくて、私はA’を胸に掻き抱いた。
A’は私の手のひらに納まってしまうほどの大きさになっていた。A’はむずかるように抵抗したが、それは私自身の胎動のように感じられた。
やがて、手と胸との間でA’が弾けた。粘液が胸の谷間から下腹部へと滴った。汚れた手を布団で幾度も拭っているうち、私は理不尽な憤りを感じた。
「まさか、自首しようってんじゃないだろうな」
不意に、背後からNに両肩を掴まれ、私は唇を噛んだ。
今の私には、A’の匂いですら、Nに対する裏切りのように感じられた。
NはA’の前だというのに私を口説いてきた。私はA’の目を憚って、「外へ出てください」と怒鳴った。Nはニタニタしながら部屋を出た。
私はA’の耳元に唇を寄せた。
「お加減はどうですか?」
「よくない。全くよくない」
A’は不貞腐れたように言った。
そんなA’が愛おしくて、私はA’を胸に掻き抱いた。
A’は私の手のひらに納まってしまうほどの大きさになっていた。A’はむずかるように抵抗したが、それは私自身の胎動のように感じられた。
やがて、手と胸との間でA’が弾けた。粘液が胸の谷間から下腹部へと滴った。汚れた手を布団で幾度も拭っているうち、私は理不尽な憤りを感じた。
「まさか、自首しようってんじゃないだろうな」
不意に、背後からNに両肩を掴まれ、私は唇を噛んだ。
今の私には、A’の匂いですら、Nに対する裏切りのように感じられた。
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公開:18/10/17 23:56
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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