かぞくにかんぱい～〇〇＆△

「そろそろ、イメージチェンジしない？」
「嫌」
何度目か忘れた提案を、即却下された。
今や稀少価値の丸眼鏡から、氷の視線が飛ぶ。
「笑われるの嫌なら、『かんじ』変えてみよう」
「やだ。よけい笑われる」
既に５年粘った僕は、彼女の頑固に慣れっこだ。忍耐力は負けた事がない。
「もう卒業だし、観念しようよ」
「絶対、嫌」
くすりと笑ったら、蛇でも見る顔で睨まれた。
「それじゃ『円円』になる。どっちが名前かも判らない」
「可愛いよ『つぶらまどか』僕は好き」
「駄目！君とだけは結婚しない、円三角（つぶらみかど）！」
そっぽを向いた耳が赤い。あとひと転がしの予感。
「子供の名前、四角（よずみ）とか付けるだろう」
「いいや。そこはもっと遊ぶ」

……５年後
「さすがにどうかと思う」
「遊びが利いてるだろう？まさに『か族』いっぱい」

『〇　△〇Ｘ□◎（つぶら　みかど/まどか/かける/かこい/かさね）』