生身の私を渡したい

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私の身体から、何かがスルリと抜けて出ていった。
部屋の高いところから、私は私の身体を見つめている。
あ、これは死んでしまった、ってやつか。
霊体になってしまうことに、焦りといった感情はなかった。
やがて、救急車の音が聞こえてきた。
私の家にどんどんと近づいてくる。
そして、私の名前を呼び、ドアをドンドンと叩く音。
大家が鍵を貸したのか、ドアが開いた。
部屋の中央に横たわる私。
それをみつめている男性二人、そして私。

男は、虫取り網のようなものを取り出して、私の方へバッサバッサとやってきた。
ちょい待ちちょい待ち。連れていくのはアッチでしょ。私は生身じゃないよ。
しかし、男たちは必至に私を捕まえようとする。
男の振りかざした虫取り網が、私をスッポリと覆ってしまった。
私は部屋の外へ連れ出される。生身の身体を置いて。
どうなってしまうんだ、生身の私。
そして、どうなってしまうんだ、霊体の私。
ホラー
公開:18/10/17 22:35

undoodnu( カントー地方 )

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