趣味休暇

我が社では、入社15年目に一年間の休暇が与えられます。

とは言え、これは仕事です。

休みの間は、会社から指定された趣味に没頭しなければなりません。これが自分の趣味ならまだ良いのですが、どういうわけか、まったく興味のなかった分野が割り当てられるのです。

社長はおっしゃいます。
「深く掘り下げれば、面白くないものなんてないさ。その面白さは新たな自分を連れてきてくれる。人生を豊かにするのは、今までの自分じゃない。まだ見ぬ自分なんだ」

たしかに休暇明けの先輩方は、見違えるほどの発想力に溢れ、仕事面でも、一年間の休暇を差し引いても余りある活躍ぶりです。しかし、新しい趣味にのめり込みすぎて、仕事復帰できない方もまた多いのです。

堅物で通っていた私が指定されたのは、なんとマージャンでした。

一年間でどちらに転ぶか。

まあ、やってみましょう。待っていなさい、新しい私の……、あ、それロンです。