本当の愛ってなんだろう

「バラの花言葉ってあるわよね？」
にこにこ彼女が言った。花屋回りが趣味の彼女は、この手の話をよく振る。
誰に挑戦状だ？こっちはプロだぞ。
「色、形、品種、状態、国によって違うけど？」
……まずい。緊張で言葉にもトゲが。
「えーと。全般に『愛』かな。赤が『情熱』で、告白の定番」
「本数でも意味が違うのよね？」
「１本で『あなただけ』２本が『二人きり』４本『死ぬまで一緒』６本『夢中』……２４本『一日中想う』３６５本『毎日恋しい』９９９本『来世も』シャレっぽいな」
ちらり時計を窺う。
彼女が僕の店に来て半年。付き合って三ヵ月。頃合いだろう。
「愛って、相手の身になる事よね？」
ぐさっ！特大のトゲが刺さった。
「贈った後、どう飾るかも考えないと」
ピンポーン♪玄関のチャイムが鳴る。
花屋の宅配だ。さっき飛ばした１０８本。『結婚して』の花束を抱えて。
「１０８なんて、下心丸出しね。……煩悩と同じ数」