貴方の努力売ってください

「畜生！ずっと頑張って来たのに…畜生！」
俺は今までの努力が全部無駄に終わり、自暴自棄に陥っていた。
居酒屋で一人酒を飲み、周りの迷惑も気にせず声を荒げた。
「努力とは素晴らしいものです」
いつの間にか隣の席に美女が座っていた。一瞬で酔いが醒めた。
「あんたに何が分かるんだよ…」
俺は酔いを戻そうと酒を煽った。
「ええ、私は貴方の努力を知りません。だから、その努力を売ってください」
この女は何を言っているんだ？
「貴方の努力を毎月、百万円で買わせてください」

俺は努力することをやめ、その金で自堕落に生きることを決めた。
努力を買ってくれるなんておかしな話だが、こんな楽な生活が出来るなら努力なんてしなくていい。

『惑星の努力買収率７６％に達しました。この様子だとあと数年でこの惑星の努力を買い占めることが出来ます。金なんて無価値なものに努力を引き渡すとは…この惑星の住人は本当に愚かですね』