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健康診断を終えて妻と待ち合わせ、自然薯の美味い店で腹いっぱい食べてから、スタバに入った。午後二時。平日のわりに、店内は混雑していた。
妻はハロウィンウィッチフラペチーノを、私はブレンドのホットをマグカップで。店の隅のいつものソファー席に腰をおろし、私は読みかけの雑誌を捲る。妻はスマホを見ている。
店の反対側の隅の席には、少女が座っていた。黒いTシャツ姿で、何かのフラペチーノを両手で抱えて、一心不乱にストローを吸っていた。少女の後ろには、彼女のソファーと同じ幅で、天井までの高さのある窓があり、その窓の右上、つまり彼女の対角線上の角には、あの丸看板が下がっている。
少女は、その窓枠の中に、自らの頭と看板とが正確な黄金分割を形成していることを知らない。私が、こんなことを考えているということも知らない。全ては偶然の産物だ。
私はレシート裏にその情景を記し、「さ、帰ろうか」と妻を促した。
妻はハロウィンウィッチフラペチーノを、私はブレンドのホットをマグカップで。店の隅のいつものソファー席に腰をおろし、私は読みかけの雑誌を捲る。妻はスマホを見ている。
店の反対側の隅の席には、少女が座っていた。黒いTシャツ姿で、何かのフラペチーノを両手で抱えて、一心不乱にストローを吸っていた。少女の後ろには、彼女のソファーと同じ幅で、天井までの高さのある窓があり、その窓の右上、つまり彼女の対角線上の角には、あの丸看板が下がっている。
少女は、その窓枠の中に、自らの頭と看板とが正確な黄金分割を形成していることを知らない。私が、こんなことを考えているということも知らない。全ては偶然の産物だ。
私はレシート裏にその情景を記し、「さ、帰ろうか」と妻を促した。
その他
公開:18/10/18 15:42
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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