宇宙飛行士

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マリさんは泥棒だ。明け方にマリさんが駆け足で帰ってきて、僕を起こした。
「早く。消えてしまわないうちに」
マリさんは自分の抱えるもやに僕の手を触れさせた。ひやっと冷めたい。
僕はもう一度眠った。そして、夢の中で僕らは宇宙ステーションから地球を見下ろしていた。暗い空間に、青い海に白い雲をまとった惑星が浮かび上がっている。
「宇宙飛行士から盗んじゃった」
僕らは宇宙飛行士の夢の中で、そのままふたりで地球を何周分も眺めていた。やがて、景色が揺らぎ地球はぼんやり霞となって消えた。
ファンタジー
公開:18/10/16 12:48
更新:18/10/16 14:19

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