フタつきの悪

同じクラスの野口君は、今時珍しい位のやさぐれた男の子です。目付きは怖いし、言葉遣いも乱暴。皆、野口君とは関わらないようにしていました。
でも、私は気づいてしまったのです。野口君の頭の丁度てっぺんに、蓋があることに。机に突っ伏して眠る彼の頭から少しだけ見え隠れしています。野口君は身長が高いので、今まで気づかなかったのでした。
蓋は飲むヨーグルト等に付いているような、剥がすタイプのもの。垂直に引っ張らないと、上手く剥がせないものです。
あの蓋を剥がしたい……
身長の高い彼の頭の蓋を剥がすには、この機会を逃してはならない。私はそう思ったのでした。
そーっと手を伸ばし、彼の蓋の持ち手を掴みます。彼はピクッと動いたけど、そのまま眠り続けていました。
私は、エイっと蓋を水平に引っ張りました。
ドロドロッ ツー
あぁ、中身が出てしまいました。やっぱり、蓋を剥がす時の容器は水平に。
次は気をつけないと。