凶花~花刄~
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刀と供に捨てられていた赤子は、やがて残忍な人斬りとなった。花刄と呼ばれる男の刀は剣先が花が咲くように開き、その刀に刺されると内蔵が抉られ、苦しみもがいて死ぬと恐れられた。
ある月の晩のこと、男が歩いていると妖しい女が声をかけてきた。
「あんた、花刃を持っているね。その花はもう十分血を吸った。人殺しはたくさんだとよ。返してもらうよ」
女が男の鞘に手を伸ばすと、男は女に切りつけた。女は怒りに満ちた目で男を睨み見た。
「捨て子のお前が憐れだと、咲いたばかりの月見草の花を守り刀に持たせてやったのに。下劣な」
男が驚き目を見開くと、女の傷口から花びらが大量に散りこぼれ、無数の刃となって、男の体を切りつけた。夥しくめくれ上がった皮膚が真紅の花びらが散ったようになり、男の体は赤い花弁となって散り散りに夜風に吹かれていく。
「ふん、愚かよの」
女は落ちた花弁から覗いている目玉をぐしゃりと足で踏みつけた
ある月の晩のこと、男が歩いていると妖しい女が声をかけてきた。
「あんた、花刃を持っているね。その花はもう十分血を吸った。人殺しはたくさんだとよ。返してもらうよ」
女が男の鞘に手を伸ばすと、男は女に切りつけた。女は怒りに満ちた目で男を睨み見た。
「捨て子のお前が憐れだと、咲いたばかりの月見草の花を守り刀に持たせてやったのに。下劣な」
男が驚き目を見開くと、女の傷口から花びらが大量に散りこぼれ、無数の刃となって、男の体を切りつけた。夥しくめくれ上がった皮膚が真紅の花びらが散ったようになり、男の体は赤い花弁となって散り散りに夜風に吹かれていく。
「ふん、愚かよの」
女は落ちた花弁から覗いている目玉をぐしゃりと足で踏みつけた
その他
公開:18/10/15 20:09
10の忌まわしい物語
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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