組み木家族

10
9

「こちらがつい先程"生まれた"お子さんです」
小さなベッドに寝かされた赤子を見つめる。
「よろしいですか」
「はい、お願いします」
「ご存知とは思いますが、念のために。このお子さんはある方のクローンです。その方に何かあった際にはお子さんは身体を提供しなければなりません。よろしいですね?」
「はい、承知しています」

こうして私達に子供ができた。

一緒に住むことにした父母もクローンだ。家族マッチングサービスを利用して世界中のクローンから最も相性の良い人を選んだ。
そして今度は子供。
クローンである以上、いつ身体を求められるかわからない。私達の家族は、いついなくなるかわからないのだ。
だから一緒に居られる一分一秒を大切に生きたい。

でも、それは…。
本当は、生身の人間の家族でもそうなのだけれど。

「良い家庭にしようね」
"我が子"を抱いた夫が囁いた。

クローン夫婦の私達に家族ができた。
その他
公開:18/10/15 15:39
更新:18/10/15 15:58

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容