四時二十分

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 僕は部屋の照明を点け、壁の時計を見た。止まったままの時計は、四時二十分を指していた。
 四時二十分だなんて、全てが中途半端な時間じゃないか。
 僕は、時計を見るたびに同じことを思っているぞ、と気づく。「中途半端な時間」
 今、何時だろうか? もしかしたら四時二十分なのだろうか? そういう可能性もある、と思うと、僕は無性に時間が知りたくなった。
 部屋中を隈なく探した。信じられないことに、時間表示のある機器は一つもなかった。
 コンビニに行けばいい。と僕は気づいた。そこで、今が、四時二十分かどうかを確かめればいい。
 だが、僕が四時二十分かもしれないと思った時から、もう何分過ぎただろう? コンビニの時計が「四時二十分」だったとしても、その四時二十分は、僕の四時二十分ではない。そんな四時二十分は無意味だ。
 僕はうなだれる。照明を点け、壁の時計を見る。四時二十分? 全てが中途半端な時間だ。
その他
公開:18/10/17 13:43
更新:18/10/17 13:54

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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