入社特典

「マキ。私来月、入社特典使うことにした」
「えーマジ！？　ノゾミ、良かったね！　じゃあ暫くは休業？」
「ううん。仕事は続けるよ！　ほら私、後輩のユウタと付き合ってるから」
「あ、そっかー！　永坂くんとダブル消化か。いいなぁ〜、超理想的じゃん。」
「やっぱ社内は良いよね」
「私も頑張ろっと！」

　それから1年も経たない桜の季節。ノゾミは新入社員へ挨拶していた。
「ご入社おめでとう。我が、卵子及び受精卵凍結会社ウフの入社特典をご案内します。女性社員はご自身の卵子十個まで、無料でいつでも凍結保存することができます。男性社員の皆さん、ガッカリしないでくださいね。科学の発展により今や男性の懐胎、出産も可能です。我が社では無料で受精卵が着床した人工子宮の装着手術が可能です。加えて産休も育休も取得が可能です。最近では、ここの男性社員である私の夫が元気な赤ちゃんを産んでくれたばかりで…」