田中さんはズレている。

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目を覚ますと暗かった。
ここはどこだ? なぜ俺はここにいる?
俺は全裸で首から下を生暖かいドロッとしたものに浸かっていた。
身動きが取れない。腕と足が縛られているようだ。

目を覚ました。今度は明るかった。
俺は誰かの家の風呂場にいた。
「起きた?」
俺を顔を覗きこむ女の顔に見覚えはあった。同僚の田中さんだ。
「なんでこんなことを?」
「鈴木くん、この赤いのは何でしょうか?」
俺はバスタブの中で真っ赤な液体に浸かっていた。
「血!」
「ノンノン! 血ではありません。トマトジュースです。それも塩分無添加のストレート果汁です!」
田中さんの手にはトマトジュースではなく、トマトが沢山入った野菜ジュースの缶が握られていた。

俺は笑うしかなかった。
ホラー
公開:18/10/14 17:13
更新:18/10/14 18:43

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