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『彼ら飛ぶもの達は、我々人間とまったく変わらぬ生活を送っている。彼らは飛ぶという以外には何の特徴も無く、その力能が人生に益する事も無い。それどころか、その力能をひた隠しにすることこそが、生き抜く為の必須手段なのである。
もし、飛行を目撃されでもしたら、人々は彼らを八つ裂きにして火炙りにし、灰を鉛の棺桶につめて下水に沈めてしまうだろう。そういう社会なのである。
飛ぶという力能を、彼ら自身も無視して暮らしている。だが、不意に飛び上がってしまわないよう、常に気にかけていなければならないことは、精神に極度の負担を強いるらしく、焦燥と疲労とが彼らの慢性疾患となっている。
彼らは少数者としての不安と誇りとに苛まれ、少しでも多くの同類と団結したいと考えている。
その「サロン」を私は突き止めることに成功した……』
(『第八区の塔に集いし者の考察』と題され、お蔵入りとなったタブロイド紙の記事より)
もし、飛行を目撃されでもしたら、人々は彼らを八つ裂きにして火炙りにし、灰を鉛の棺桶につめて下水に沈めてしまうだろう。そういう社会なのである。
飛ぶという力能を、彼ら自身も無視して暮らしている。だが、不意に飛び上がってしまわないよう、常に気にかけていなければならないことは、精神に極度の負担を強いるらしく、焦燥と疲労とが彼らの慢性疾患となっている。
彼らは少数者としての不安と誇りとに苛まれ、少しでも多くの同類と団結したいと考えている。
その「サロン」を私は突き止めることに成功した……』
(『第八区の塔に集いし者の考察』と題され、お蔵入りとなったタブロイド紙の記事より)
ファンタジー
公開:18/10/14 10:18
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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