三国の謳

ジンの国、ルイの国、ミナの国。
この三国は国家が成立された年が近く、当初はかなり仲の良い三国であった。
しかし十数年過ぎたあたりから、ちょっとした事で諍いが起こるようになる。いつしかジンの国は仁義なき国、ルイの国は類を見ない非道な国、ミナの国は皆殺しの国と呼ばれるようになっていた。
それから数年、争いの絶えない日々が続く。この三国の影響を受けてか、他の国々でも醜い争いが起こり世界は喧騒に満ちていた。

やがて年月が流れ、十数年。
三国は緩やかではあったが再び親睦を深めていった。それに合わせるように他の国々の争いも翳りをみせる。喧騒の時代は終わりを迎えようとしていた。

そして、さらに数十年。
丸くなった三国は非常に仲の良い国へと戻った。世界に満ちていた喧騒もすっかり静まっている。
ジンの国、ルイの国、ミナの国は謳ったのだ。その謳と共に世界は平和に。そう、その謳こそ……。

「人類みな兄弟」