115. 金の斤と銀の斤が貰えた訳

ある時一人のきこりが使っていた斤を誤って池に落としてしまった。そこへ池の底から突然美しい女神アフロディーテが現れ、きこりにこう問うた。「あなたが落としたのは金の斤？銀の斤？」突然のことに驚きつつもきこりは答えた。『いえ鉄の斤です』アフロディーテは正直なきこりに感嘆し金銀鉄の三つの斤を渡した。
その様子を少し離れたところで他のきこりが見ていた。『あんな美女から金の斤も銀の斤ももらえるのかよ～‼』
次の日、昨日のやりとりを見ていたきこりが池の中に鉄の斤をわざと落とした。間もなくして現れたのは男の神ヘルメース。
(女神じゃない？)
「えっとさぁ、お前の落としたのって……」『金の斤です‼』
男がすかさずそう答えるとヘルメースは鉄の斤をその男に向かって投げつけた。

「俺たちの邪魔した上に嘘までつくなんて許さないからな！昨日の正直なきこりに金と銀のを渡したのだって、あいつがイケメンだったから……泣」