社長の秘密

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秘書が社長室に入ると、床に一枚の紙が落ちていた。拾い上げて読み始めると、そこに社長が戻ってきた。
社長は秘書が持っている紙に気がついて急いで取りあげる。
「見たのか?」
「見てしまいました」
「君が見たものは企業秘密だから、絶対、誰にも言うな」

数ヶ月後、社長が交通事故で亡くなった。ワンマン会社で有名な会社だったため、社長がいなくなってから、どんどん株が下がっていった。
役員たちが秘書に問い詰めた。
「君が社長の最後のアイデアを見たことは知っているんだ。会社を救うと思って、社長が残した最後のアイデアを教えてくれ」
「言えません」
秘書は顔色一つ変えず静かに答えた。
「君は我が社の今の状況が分かっていないのか!」
「分かっていなのは、あなたがたの方です。私だって言えるものなら言いたい。でも言えないのです」
あまりに字が汚くて何が書いてあったのか分からなかったことは、今でも秘書しか知らない。
その他
公開:18/10/14 19:06

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