学校

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マリさんは泥棒だ。
マリさんは時々、泥棒の学校に行く。何処にあるのか尋ねると、場所はいつも変わるのだと言っていた。ある時は湖に浮かぶ梟の島、ある時は氷河の削った古代人の会合場所の跡地…。まずは場所を探し当てることが課題らしい。
「去年はここだったんだよ」
その日、マリさんは僕を古い町の地下街へ連れて行った。床も壁も天井も石で固められて、僕らの影が蝋燭の火に揺れた。世界中の秘密という秘密を、ひそかに伝える泥棒たちが、僕らの世界にこっそり生きている。

その時、僕ははたと気がついた。
そうだ。この人の本当の名前はきっと「マリ」さんじゃないんだろうな。

秘密のカケラを僕は眩しく見つめる。
ファンタジー
公開:18/10/14 18:52

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