赤い星

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明滅する赤い星には、決して近付いてはいけないと教わった。触れれば必ず身を滅ぼすからと。
私は毎夜出逢うその星を、いつも遠くから眺めた。
雲が空を覆う日も、豪雨で視界が霞む日も、月や他の星はみな隠れたきりなのに、赤い星だけはおなじ場所で耀く。
いつしか私はこの星を、空の守り神と考えるようになった。

身が軋むほど寒い冬の夜、空一面に粉雪が舞った。
頭に甘い靄がかかる。今日はもう少しだけ側に行きたいと、体が赤い星に近付いていく。

どおん、と音がした。
何の音かは判らなかった。

地上の建設現場。
早朝、出勤した作業員達は驚いた。
ビル20階分の高さを持つ大型クレーン車の先端に、飛行機が一機、指し貫かれていたのだ。
操縦室はなんと無人だった。
真相は藪の中だが、現場を目にした人々は、口を揃えてこう言った。
薄雪を纏い朝日を浴びるクレーンと飛行機は
「巨大なひとつの生き物のようで、美しかった」。
ファンタジー
公開:18/10/14 18:27

rantan

読んでくださる方の心の隅に
すこしでも灯れたら幸せです。
よろしくお願いいたします(*´ー`*)

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