23
74

なんでだっけ?
大学の同期だが顔見知り程度の山谷の家にいく流れになったのは。
秋なのにやけに暑い日だった。
「風呂なし1Kだけどくつろいでな。靴脱がなくてええけど」
中へ入り、驚いた。
キッチンのある場所は岩場で、川が流れている。
『何これ?』
「渓流」
本来、換気扇のある辺りには滝があり、見上げると天井はなく、秋晴れの空と紅葉した木々が見えた。
「吹き抜けなんだ」
山谷は奥の和室にいた。
「昼、ご馳走するわ」
山谷は馴れた手つきで火を起こし、水を汲み、湯を沸かし、蕎麦をゆで始めた。川の水で冷やしたざる蕎麦。わさびも育っていて、すって添えてくれた。紅葉の流れる川のほとりで昼食をとった。
「風呂、入る?」
風呂なしでは?よく見ると川の脇に溜まりがある。
「掘ったんだ。温度調整苦労したよ」
夜、俺たちは温泉に入り、満天の星を見た。
渓流から始まった交流は、だいぶ時間が流れた今でも続いている。
青春
公開:18/10/12 17:10
更新:18/10/21 16:59

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7

・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか) 
https://amzn.asia/d/iW14MdM

ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容