凶花~花を喰らう~
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珍しい花を食べさせる店があると、つきあって間もない彼に誘われた。彼は店の常連らしく、店長と挨拶すると私も紹介される。
皿に盛られた花は生きているようだった。艷やかな花弁は僅かに震え、おしべとめしべがニョロニョロと動き、グリーンの茎が血管のようにドクドクと脈打っている。口に入れるとプチンと内臓が潰れるような歯ごたえで、濃厚な味が広がる。
「これ、花なのかしら」
「企業秘密だって、何の花か教えてくれないんだよなぁ」
1か月後。彼からまたあの花を食べに行こうと誘われた。
先に店に着くと、個室に案内され、店長が挨拶に現れた。
「ああ、ちょうどいいですね。ちょっと失礼します」
そう言うと、不意に私の頭に触れ脳天をぐっと圧す。
メリメリと頭を突き破りドクドクと脈打つ茎と花が現れた。
「本日は特別に踊り食いをご所望のお客さまがいらっしゃいまして」
にこやかに席に着く彼を、私はポカンと見つめた。
皿に盛られた花は生きているようだった。艷やかな花弁は僅かに震え、おしべとめしべがニョロニョロと動き、グリーンの茎が血管のようにドクドクと脈打っている。口に入れるとプチンと内臓が潰れるような歯ごたえで、濃厚な味が広がる。
「これ、花なのかしら」
「企業秘密だって、何の花か教えてくれないんだよなぁ」
1か月後。彼からまたあの花を食べに行こうと誘われた。
先に店に着くと、個室に案内され、店長が挨拶に現れた。
「ああ、ちょうどいいですね。ちょっと失礼します」
そう言うと、不意に私の頭に触れ脳天をぐっと圧す。
メリメリと頭を突き破りドクドクと脈打つ茎と花が現れた。
「本日は特別に踊り食いをご所望のお客さまがいらっしゃいまして」
にこやかに席に着く彼を、私はポカンと見つめた。
その他
公開:18/10/12 14:00
10の忌まわしい物語
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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