忘れてたアイツ
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「だ、大丈夫ですか!」
その男は交差点で倒れていた。
通りかかった私は男を介抱しながら、どこかで会ったことがあるような気がしていた。
「しっかり!今、救急車を呼びますからね」
「な…」
「な?」
「う…」
「しっかり!」
「な…う…」
私は彼のことを思い出した。
瀕死の彼に私は人工呼吸を行って、周囲に助けを求めた。
「誰か!誰か来て!」
足早に去ってゆく人がいる。遠目に見ているだけの人や、笑みを浮かべた人までいた。
どうしてそんなに冷たくいられるのだろう。私はもう気が狂いそうだった。
「な…う…」
「もう喋ってはダメだ!」
「なう…」
「よせ!やめるんだ!」
「ナウい…」
「死ぬなー!」
彼は私の腕の中で絶命した。
手には遺言の紙を握りしめていた。
彼のことを使わずに忘れていた自分を責めた。
私は死語硬直がはじまった手から遺言の紙を取った。
バイナラ。
私の心はガビーンとなった。
その男は交差点で倒れていた。
通りかかった私は男を介抱しながら、どこかで会ったことがあるような気がしていた。
「しっかり!今、救急車を呼びますからね」
「な…」
「な?」
「う…」
「しっかり!」
「な…う…」
私は彼のことを思い出した。
瀕死の彼に私は人工呼吸を行って、周囲に助けを求めた。
「誰か!誰か来て!」
足早に去ってゆく人がいる。遠目に見ているだけの人や、笑みを浮かべた人までいた。
どうしてそんなに冷たくいられるのだろう。私はもう気が狂いそうだった。
「な…う…」
「もう喋ってはダメだ!」
「なう…」
「よせ!やめるんだ!」
「ナウい…」
「死ぬなー!」
彼は私の腕の中で絶命した。
手には遺言の紙を握りしめていた。
彼のことを使わずに忘れていた自分を責めた。
私は死語硬直がはじまった手から遺言の紙を取った。
バイナラ。
私の心はガビーンとなった。
公開:18/10/12 10:52
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