青空にブーケを

カナちゃん、受け取って……！

レイコは願った。
一緒に働いた日々。
知らず知らず、同じ人を好きになっていた。
互いに気が付いてからは、ライバルで仲間だった。
私だけ、彼と先に。
あの時、カナちゃんは祝ってくれたね。
でも、今度はあなたの番。


カナちゃん、受け取って……！

タクヤは願った。
始めは遊びだった。
無くして初めて気が付いた。
何故かほっとする笑顔。
どこか懐かしい温もり。
俺には何もしてやれなかった。
どうか、幸せになってほしい。


カナちゃん、受け取って……！

花嫁は願った。
来月はカナちゃんの手術がある。
まだ誰も知らないけれども。
私だけには話してくれた。
幸せを、笑顔を、思いを。
全部ブーケに閉じ込めて。
空へ。


花嫁がブーケを放り投げた。
雲一つない青空に、ブーケがふわりと弧を描く。
ブーケが、レイコの、タクヤの、花嫁の、皆の思いを乗せて。


そして。