秋祭り

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水面、水面、ぽちゃぽちゃ跳ねる
私は決して沈まない
だってそう言うものだから

水溜まりで歌う彼女に会った次の日だった。

あのね、今度踊るの。多分次の満月の1日前。日はまだ決められなくて、山が1番綺麗な時にやるの。山の囁きを聴いて、日を決める。

お山の池が会場で、池は鏡になって空も山も全部映して、どこを見ても最高の舞台よ。

踊るの、すごく楽しみ。笛吹も来るわ。だから、ね、見に来て。迎えを寄越すから。

そんな便りをもらった。

ある夜明け前、窓に何かぶつかる音で目が覚めた。カーテンを開けると、木と葉で出来たソリとカモシカが待っていた。

カモシカソリに揺られ、僕は池についた。

朝焼けと眩むような紅葉の赤黄が上にも下にも広がる。池の端には森の動物達が並んで座っており、僕も案内された席についた。

間もなく笛の音に合わせ、たくさんの光が飛び交い水面を跳ねる。その中に、確かに彼女がいた。
ファンタジー
公開:18/10/12 22:16
更新:18/10/13 09:04

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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