取り残されたモノ達

朝目覚めると、ベランダの物干しに洗濯物で私だけ取り残された。
主婦マッキーは、たまにこういうことをやらかす。
私はマッキーの愛を20年間失いかけてる、旦那ミッチーの股引。ぞんざいに扱われる存在。まずい！と風が無いのに揺れて窓を叩いてみた。
無駄だよっ！
と私に声をかけたのは、秋なのにまだいる風鈴さんだった。
私も何度もマッキーに夏以外の季節も腰を振ってアピールしたが、箪笥御殿には二度と戻れない。私はとりあえず屋外用の作りだからいいが、私の先を見てごらん。
見ると黒々に干からびた雑巾がくくりつけられていた。
股引さん、アレを雑巾だと思ってるのかい？違うよ。アレは家を出たダイちゃんが小5の時に作った、てるてる坊主だよ！
えぇー！まさかの9年放置！
もう原型すら留めてない。
聞こえるだろ嗄れた声で、まだダイちゃんの為に晴れを祈っているよ。
その光景は、私の股ぐらに汗が滲むほどの恐怖を植え付けた。