ため息の使い道

「いらっしゃいませ」
「当店は溜め息を査定・買取させていただいております」
「絶望が大きいほど高値で買い取らせていただきます」
「なるほど、落選の連絡を聞いた時の溜め息ですか」
「ほうほう、最終選考まで……講評は一番良かったのにですか」
「では、こちらのお値段ではいかがでしょうか？」
「またのご利用をお待ちしております」

うちのオーナーは”絶望”を集めている。
何に使うのかは知らないが、きっと凄いことをしてくれるはずだ。
どうしてこんなところで働いているかって？
この世界にうんざりしているからさ。

「う～ん、これなんかどうかな」
これかい？これは”言葉”だよ。
絶望には、それぞれ一つだけカギになる言葉があってね。
それを見つけるのが私の趣味なんだ。
「お、あったあった」
ごらん、この絶望にこの言葉を合わせると……ほら、希望に早変わりだ。
どうだい？スカッとするだろう。