114. 胃袋レンタル屋さん

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忘年会シーズンが近づいて、胃袋レンタル屋には長蛇の列ができていた。
胃腸の弱い私は早い時期にネットで予約しておいたので、予約者専用レーンに並び数十分で順番が来た。受付で記入しておいたカルテを見ながら店員がテキパキと作業をしている。
『少し大きめでアルコールを受け付ける胃袋ですね?』「は、はい。宜しくお願いします」
麻酔で少しの間眠らされた後起きてみると、早速胃がぎゅるぎゅると音をたてお腹を空かしていた。『これで処置は終わりました。三日後返却の施術を行うのでご予約の時間にこちらにお越しくださいね』そう言いつつ見せてくれたのは私の元々の胃袋とレンタルで借りた胃袋の画像。もう見た目からして全く違う。
心置きなく忘年会を堪能した私だったが、三日後再び来ると店員が客たちに頭を下げ何やら謝っている。

『借りた胃袋を気に入ったお客様が返却に来ないので、もうお貸しする胃袋が無くなってしまいました』
その他
公開:18/10/11 19:10
更新:19/04/08 12:39
本当に胃腸の弱い私 昨日からまた胃腸炎 取り替えるかレンタルしたい だからこの話を思い付きました

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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