筆が乗る

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気晴らしに酒を飲むと面白い程に作品のアイデアが浮かんできた。
私は急ぎ紙に筆を走らせた。
浮かんでは消えていくアイデア。それらを零さないようにと必死に筆を走らせる。
筆が紙からはみ出る。気にしない。
筆がペン立てにぶつかる。気にしない。
ただひたすらに筆を走らせた。

…気が付けば私は捕まっていた。
「で、酒を飲んで気分が良くなったからこんなになったと。君ね、飲酒運転は禁止だって知ってるよね?」
そう聞いてくるのは警察官っぽい。
「ちょっと待ってください。私は確かに酒は飲みましたが車は運転していません!」
警察官?はため息を吐き、説明する。
「君、酒飲んで筆に乗って走らせていたでしょ。机上交通法、筆のスピード違反、筆がぶつかることでの器物破損、人身事故起こしていないのが幸いだったね」
私は言葉を失った。
「君、筆の免許取り消しね」
それ以来、いくら酒を飲もうとも私の筆が乗ることはなかった…
公開:18/10/11 19:05

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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