とある芸人の恋物語

0
4

結婚できない芸人と言われている僕にも春が来た。
52歳にしてついに結婚を真剣に考えられる女性と巡り合うことができたのだ。
僕は今日、彼女の両親に会うために海に来た。誰もいない静かな砂浜を二人で歩く。
歩みを止め、彼女と見つめ合い、唇を近づける。

イマダ…イマダ…イマダ…

不意に海からそんな声が聞こえた。
海を見ると、そこには人の顔をした大量の魚が僕らを見つめていた。
「紹介するね。私の家族」
そう話す彼女に僕は唖然とする。
「皆、彼は今田さん。私が地上で出会った半魚人よ」
「半魚人ちゃうわ!魚顔なだけや!人間や!」
芸人の性で突っ込んでしまった。
「そんな…今田さん半魚人じゃないの?」
彼女はショックを受けたようだ。
「私、人魚なのよ!人間とは結婚できないわ。さよなら…」
彼女は服を脱ぎ捨てると下半身を魚のヒレへと変え、海に帰ってしまった。
僕はこの時、半魚人でありたいと本気で思った。
恋愛
公開:18/10/11 19:01

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容