空っぽの空と黒い穴
9
11
空に散りばめた星を、金平糖みたいと娘が言った。
ほしいほしいとねだるので、誕生日プレゼントに1個だけむしってやる。
なるべく隅の目立たなそうなやつを、かわいいお口にぽい!
ぺろりとひと口で飲んでしまった娘は、
「これ、あまくない」
子供はまったく無邪気で正直で残酷だ。
消え残りの幻は、やっぱり物足りないか。少し真ん中、星くずの雲をこそげ、飛び跳ねながら待ちかまえる舌の上へ。
「わぁ、わたがし。もっと、もっと」
黒い髪とスカートがくるくる回り、元気なお口がぱかり。
金色のべっこう飴、ドーナツリングのデコレーション、真っ赤な特大ケーキ。要求は際限を知らず、食べ過ぎでぽっちゃりした頬も、それはそれで愛らしい。
「次で最後ね。さあ、どれにする?」
届く星はあらかたお腹に収め、丸々肥った娘は、空っぽのだだっ広い空をきょろきょろし、
「あの、あおくてきれいなの」
巨大な穴と化した黒いお口を、がばり。
ほしいほしいとねだるので、誕生日プレゼントに1個だけむしってやる。
なるべく隅の目立たなそうなやつを、かわいいお口にぽい!
ぺろりとひと口で飲んでしまった娘は、
「これ、あまくない」
子供はまったく無邪気で正直で残酷だ。
消え残りの幻は、やっぱり物足りないか。少し真ん中、星くずの雲をこそげ、飛び跳ねながら待ちかまえる舌の上へ。
「わぁ、わたがし。もっと、もっと」
黒い髪とスカートがくるくる回り、元気なお口がぱかり。
金色のべっこう飴、ドーナツリングのデコレーション、真っ赤な特大ケーキ。要求は際限を知らず、食べ過ぎでぽっちゃりした頬も、それはそれで愛らしい。
「次で最後ね。さあ、どれにする?」
届く星はあらかたお腹に収め、丸々肥った娘は、空っぽのだだっ広い空をきょろきょろし、
「あの、あおくてきれいなの」
巨大な穴と化した黒いお口を、がばり。
ホラー
公開:18/10/11 18:34
更新:18/10/11 18:54
更新:18/10/11 18:54
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
ログインするとコメントを投稿できます