猫おばさん

1
7

猫おばさんは言った。

「女は二種類しかいない」

町外れの洋館に住むおばさんは
僕とシロの恩人だ。
学校に迷い込んできた捨てられた子犬の里親を探して、いろんな人に聞いたけど、全部ダメだった。ここまで来てしまった。
三年ぐらい前にここにたくさんの猫を引き連れてやってきたおばさんは、変わり者と噂されていたけど、僕らには優しかった。

「可愛いワンちゃんだねえ・・そっか、誰も飼ってくれないか・・うちは猫ちゃんばっかりだけど、いい?」
「ほんとに飼ってくれるの?おばちゃん?僕もここへ来て シロの散歩していい?」

少しおばさんは黙り込んだ。

「・・・坊や、これを知っておくと、人生半分成功したようなものだから覚えていてね」
「うん」
「女は二種類しかいないの」
「うん」
「お嬢さんと、おねえさん」
「うん?」
「地球の半分は女でできているからね」

それからの僕の人生は、わりとうまくいっている。
その他
公開:18/10/10 07:24
更新:19/05/17 17:13

入月裕美子( 日本 )

できることからコツコツと。
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容