ノックの音が(ver.undoodnu)

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ノックの音がした。
なぜチャイムを押さないのか。
俺はやや不満に思いながら、ドアを開けた。
「はい、どちら様?」
「こういう者です」
男は、口にくわえた名刺を俺に渡してきた。
どうやら、男には両腕が無いようだ。
だからチャイムが押せなかったのか、と思いながら俺は名刺を受け取った。
ちょっと待てよ。
腕が無いならば、どうやってドアをノックしたんだ?
「なあ、あんた。どうやってドアをノックした?」
「はい。こうやって」
男は、先端が手の形をしている棒を口でくわえて、ドアをノックする仕草をした。
「あんた、それならば、その棒でチャイムを押せばいいんじゃないのか? なぜチャイムを押さない?」
「静電気が怖くて……」
「あんた、その棒に付いている手みたいなヤツ。それはゴム製じゃないのか?」
「そうです。でも、怖くて」
「こんなの、ただのチャイムだよ、ほら」
俺がチャイムを押すと、全身を電流が走った。
ミステリー・推理
公開:18/10/09 22:23
すこし不思議、理不尽、不条理 むう宿題9/10

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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