ソーダの君と泡の僕

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相田蒼。文芸部所属の彼女は今、学校中から注目されている。
彼女の書いた作品が賞を取り、書籍化が決まった。
彼女はクラスメイトから賛辞を受け、「私も作品に出してよ」や「ギャラいくら」といった質問を毎日受けていた。
彼女は集まってくる者に自身が書いた本を手渡した。
「感想を聞かせてください。その後、皆さんの質問に答えます」
皆が彼女の本を読み始めた。
しかし、彼女の本は皆にとって退屈だったようだ。
多くの者が彼女の本を読み終えることはなかった。
中には読み終える者もいたが「感想なんてない」の一言だった。
僕は思う。彼女はグラスに注がれたソーダだ。
透明感のある彼女に集まっては消える泡のようなクラスメイト。
僕は本の感想を告げぬまま、彼女自身に感じた感想を告げた。
彼女は笑う。
「もしよければ、文芸部に入ってもらえませんか?貴方の作品を読みたいです」
泡にならないための僕の努力が今日始まった。
青春
公開:18/10/09 19:26

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