タイムカプセル #002

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「うちの会社は社長と私の二人だけなんだ。秘密の漏洩が何より怖いんでね」
飲み屋で酔った老人が話しかけてきた。
「場所を忘れてしまったり、上に建物が建ってしまったようなタイムカプセルを掘り出してくる仕事をしているんだよ」
「そんなこと出来るんですか?」
「埋めたものをすぐ掘り出してしまえばいいのさ」
「え? どういうことですか?」
「秘密というのはそのことさ。うちには社長が発明したタイムマシンがあるんだ」
私は呆れて彼の目を見たが、そこには知性の煌めきが見て取れた。
「しかし、さすがに手が足りなくてね。そこで君を勧誘しに来たのさ」
「そんなこと見ず知らずの僕に話していいんですか? 僕がその秘密を暴露するかもしれませんよ」
「それなら大丈夫。20年後、次期社長に就任した君と祝杯をあげてきたばかりだからね」
どうせ転職しようと思っていたところだ。
小さな会社らしいが、社長になれるなら悪くないか。
SF
公開:18/10/09 18:56
更新:18/11/01 22:40
全ジャンル タイムカプセル

けんじゅう

せっかくいろいろなジャンルを用意していただいているので、
一つのテーマ(タイムカプセル)で全ジャンル書いてみようかなぁ、
なんて思う今日この頃。

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