生きがい

俺の勤める会社ではオートメーション化が進み、機械が自動で行ってくれる仕事を眺めているだけで良くなった。
8時間、椅子に座りボーッと過ごす。

家に帰り、夕食。
妻が昼間に起こった出来事を話し続ける。
俺は興味がないので、ボーッとやり過ごす。

妻との夜の営み。
愛のない行為だけになったそれを、俺はボーッとしながらこなす。

夢の世界。
空には色とりどりのバルーンが舞っている。
果てない草原では初恋のあの子が待っている。
俺は夢中で走り出す。
1秒も無駄にできない、楽しい時間。

朝。
目が覚めた俺は、ボーッとしながらトーストをかじる。

――いっそのこと、覚めなければ良かったのに。

一瞬脳裏を何かがよぎったが、妻の声を聞いている内にどうでもよくなり、俺はまたボーッとし始めた。