あたたかさ

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マリさんは泥棒だ。
ある日、マリさんがペルシャ猫の引きずるような長い毛を盗んで帰ってきた。僕は、ハゲてしまった猫を可哀想に思って、マリさんに抗議した。
叱られて、マリさんは落ち込んでいた。
「この毛を、寒がりなアメリカンショートヘアの猫に付けたらいいんじゃないかと思ったんだけど、やっぱり返してくる」
マリさんは、考えを改めて、寒がりなアメリカンショートヘアの猫の所には、夜、家の人に気がつかれないうちに炬燵を届けることにした。
大寒波がやってきた。もうマリさんはあの猫の心配をする必要はない。僕らはふたり、心穏やかに年末を迎えた。
でも、僕は毎晩寒くてベッドの中で震えながら眠りについていた。けれど、ある朝、春のような暖かさの中で僕は目を覚ました。
すっくとベットから立ち上がり、洗面所へ向かう。そこに、鏡の中にゴリラの毛を生やした僕がいた。
ファンタジー
公開:18/10/08 20:45
更新:18/11/27 09:35

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