走る

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マリさんは泥棒だ。夜明け前の線路伝いに街を移動して、川面が日の光を跳ね返す頃に僕の部屋にやって来る。
「今夜はどこにいたの?」
「ただただ線路を走っていた。電車が休んでいるうちに、自分がどこまで行けるか試したかったから。」
「どうして走るの?」
「私の子ども時代を連れ去った人を探してるんだ。」
朝が来た。学校へ行かなくちゃ。
僕はベットから起き上がって、代わりにマリさんをベッドの中にそっと眠らせた。
制服のネクタイを締めて、玄関を開けた。
ファンタジー
公開:18/10/08 18:16
更新:18/10/08 18:19

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