凶花~花を摘む~
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僕の放課後の楽しみは幼馴染の綾と花摘みに行くことだった。最初は道端の花を摘むだけだっだ。でも、母達が花を見てすごく喜んだから僕らはエスカレートして、他所の家の花壇や鉢植えから、花を手折るようになった。
ある日、僕らは大きな古い家を見つけた。庭を覗くと温室がある。興味に駆られ入り込むと、何かの花の蕾の鉢植えがひとつだけ置いてあった。拍子抜けしながら、こんな大事にされているんだから絶対特別な花だ。咲いたところを見てみたいという誘惑に駆られた。
「咲いたら見せるね」
僕らは鉢植えを盗みだし、綾は嬉しそうに鉢植えを抱えて帰った。
その夜、僕は夢を見た。
鉢植えの蕾が開く。思わず顔を背けたくなるぐらい穢れた醜い花だ。綾が「咲いた~咲いた~」と無邪気な声で歌う。
花は醜い花弁を翼のように広げ、綾の頭をすっぽりと包み込んだ。
歌声が消え、ジュルジュルと何かを吸う音が響きわたり、僕は吐き気を催した。
ある日、僕らは大きな古い家を見つけた。庭を覗くと温室がある。興味に駆られ入り込むと、何かの花の蕾の鉢植えがひとつだけ置いてあった。拍子抜けしながら、こんな大事にされているんだから絶対特別な花だ。咲いたところを見てみたいという誘惑に駆られた。
「咲いたら見せるね」
僕らは鉢植えを盗みだし、綾は嬉しそうに鉢植えを抱えて帰った。
その夜、僕は夢を見た。
鉢植えの蕾が開く。思わず顔を背けたくなるぐらい穢れた醜い花だ。綾が「咲いた~咲いた~」と無邪気な声で歌う。
花は醜い花弁を翼のように広げ、綾の頭をすっぽりと包み込んだ。
歌声が消え、ジュルジュルと何かを吸う音が響きわたり、僕は吐き気を催した。
その他
公開:18/10/09 17:43
更新:18/10/14 15:58
更新:18/10/14 15:58
10の忌まわしい物語
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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