つまみをください

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「仕事の後の酒はたまんねえなあ。なあ、翔子、何かつまむもんないか?」
「ないよ」
翔子は素っ気なく答え、振り返ることもなくリビングから出ていった。
「おいおいそりゃあねえぜ」
俺は仕方なく、自分で冷蔵庫を開けて中身を確認した。
「おいおいそりゃあねえぜ」
翔子の言う通り、冷蔵庫には何もない。
食べ物はおろか、調味料さえ一つもない。
諦めて冷蔵庫の蓋を閉めようとした時、奥の方に何かつまみのようなものがあるのを発見した。
俺は試しにそのつまみをひねってみた。
その時、冷蔵庫がウーウー言い始めた。
俺は驚き、手を引っ込めて冷蔵庫から離れた。
冷蔵庫はガタガタと震え、側面から羽のようなものが生えてきた。
「翔子、冷蔵庫が」
俺は翔子に助けを求めた。
翔子はリビングに飛んで駆けつけてきてくれた。
そう、翔子にも羽が生えていたのだ。
「あんたまだだったね」
翔子はそう言い、俺の背中のつまみをひねった。
ファンタジー
公開:18/10/09 16:08
すこし不思議、理不尽、不条理 むう宿題8/10

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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