女の子

マリさんは泥棒だ。
その日、マリさんは少し大変なものを盗もうとしていた。難しいことになる。だから、用意を周到にしていた。
でも、マリさんはためらっていた。
マリさんが盗もうとしているのは、小さなお姫様だ。お姫様がいなくなったら、お父さんもお母さんもきっと悲しむだろう。お姫様本人だって、きっと心細いだろう。だけど、マリさんも昔、盗まれたお姫様だった。だから、あのお姫様を盗み返せば、マリさんの人生も完璧になるばずだ。
マリさんは出掛けて行った。
そして、ガーベラを一輪持って帰ってきた。二つ盗んで、ひとつをお姫様にあげて、もうひとつを自分に。