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先輩に紹介された会社を訪れた俺は、ドアを開けた瞬間おもわず息をのんだ。
部屋の中には、大小さまざまな歯車がまるで巨大生物の内臓のように蠢いていた。
「この装置で、何か作ってるんですか?」
社員らしき男に声を掛けると、笑顔で首を横に振った。
「ただ、回しているだけだよ」
他の人に訊いても同じだった。ただ、回しているだけ。
俺はどうやら先輩に騙されたらしい。
何が「やりがいのある仕事」だ。それこそ社会の歯車そのものじゃないか。
俺は、辞表を叩きつけて辞めた前の会社を思い出した。
ただ、社員の顔はとても生き生きしていた。
歯車を回すだけ。いかにも退屈そうな仕事なのに。
「何が面白いんですか?」
「なかなか奥が深いんだよ。速くてもだめ、遅くてもだめ」
男は額の汗をぬぐって笑顔で答えた。
「いったい何を回してるんですか?」
俺が問いかけると、男は地面を指差した。
「この、大きな球だよ」
部屋の中には、大小さまざまな歯車がまるで巨大生物の内臓のように蠢いていた。
「この装置で、何か作ってるんですか?」
社員らしき男に声を掛けると、笑顔で首を横に振った。
「ただ、回しているだけだよ」
他の人に訊いても同じだった。ただ、回しているだけ。
俺はどうやら先輩に騙されたらしい。
何が「やりがいのある仕事」だ。それこそ社会の歯車そのものじゃないか。
俺は、辞表を叩きつけて辞めた前の会社を思い出した。
ただ、社員の顔はとても生き生きしていた。
歯車を回すだけ。いかにも退屈そうな仕事なのに。
「何が面白いんですか?」
「なかなか奥が深いんだよ。速くてもだめ、遅くてもだめ」
男は額の汗をぬぐって笑顔で答えた。
「いったい何を回してるんですか?」
俺が問いかけると、男は地面を指差した。
「この、大きな球だよ」
ファンタジー
公開:18/10/09 02:06
おっさんになりましたが、夢は追い続けます
「小説は短く、人生は永く」
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