濡れ衣

「あなたが市井を殺害した犯人だったんですね」
「私は何も知りません。そもそも市井さんとはお話したこともありません」
「とぼけないでください。昨晩、市井さんは自宅で何者かにロープで首を絞めらて殺害されました。鑑識が調べたところ、あなたの毛髪が検出されました」
「なにかの気のせいではないのですか？私は本当に市井さんという方は知り合いではありませんし、殺害の動機もありません」
「そうですか。ですが、私はあなたが殺害したという証拠を手に入れたんです」
その刑事は昨日、被疑者にしたてる女性の毛髪を抜き取り、そっと殺害現場に残した。
「あなたは市井さんの命を奪った」
奪ったのは私だ。後ろからロープで首を絞めた。
「刑事さん。なにかの間違いではないんですか？」
「私があなたを犯人だといったら犯人なんです。それ以外に何を求めるのですか？詳しい話は署でうかがいます」