面接会場のカメラ

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ガメラではない。カメラ、それもポラロイドカメラ。
第一志望の会社の面接。部屋に通されると、椅子の上にポラロイドカメラが置いてあった。
座るためにはカメラを取らなければならない。しかし、その瞬間に「はい、ありがとうございました」と言われたら困る。
面接官たちはニコニコしている。どうするのが正解だろう。
私は意を決してカメラを手に取り、一番偉そうな面接官を激写した。

パシャ、パシャ、パシャ
バーコード禿をメインに接写する。

「はい、そこまで」左端にいた面接官が私を止める。
「なぜ、私を被写体に選んだのかね?」私が激写した人物が質問をする。
「はい、一番偉い方のような気がしたので」
全員大爆笑。
「この人はね、街でスカウトしたプーのおじさん」
「えっ!でも、プーの前は社長だったとか」
「ないないない。わっはっは」

結果、私は受かった。入社5年目にして、何が良かったのかいまだにわからない。
その他
公開:18/10/07 09:23

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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