ベースに憧れて

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僕はアルバイトで貯めたお金を全てつぎ込み念願のベースを買った。
手にした時の嬉しさは人生最高の喜びであり僕が思っていた以上のズシッとした重量感は充実感をも与えてくれた。
部屋に飾り眺める日々。
触れると冷んやりとした。
使わなければ意味がないのは分かっているけれど今はウットリ眺めていたい気分だ。
ベースに憧れたのは小学生の時。
父に連れられて見に行った場所に真っ白なベースが置いてあり、その形に魅了された。そのベースはみんなが使えるものだと父から聞き触れてみたかったが、なんだか神聖な場所に置いてある感じがして父には言い出せなかった。
あれから10年。長いような短いような時間。お店に行っては目尻が下がり自室に飾ったベースをうっとりと想像していた。

さて、いつまでも飾っていてもしょうがない。使わなければベースが可愛そうだ。僕は意を決し庭先にベースを置きヘッドスライディングを心ゆくまで楽しんだ。
その他
公開:18/10/07 07:17
更新:18/10/08 13:01

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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