迷走性理論

「冥王星って知ってる？」
「持ってる」
「持ってるの？」
「ほら、これ」
「何これ？」
「冥王星」
「これが？　どう見ても薄汚れたボールなんだけど？」
「目、悪いんじゃね？　どう見てもこれは冥王星だろう」
「ボールにしか見えない」
「失礼な奴だな。冥界の王もブチ切れだぜ」
「冥界の王？」
「そう。この冥王星には冥界の王が住んでいるのさ。ほら、この白い部分」
「これ、黴じゃない？」
「お前、冥界の王を侮辱するにもほどがあるぞ！」
「侮辱も何も、黴は黴でしょ？」
「お前はどこまで冥界の王をバカにするんだ！　今すぐ謝れ！」
「頭どうかしてんじゃない？」
「ふん。冗談だ」
「冗談かい！」
「迷走性理論ってやつだ」
「相対性理論みたいに言ってもカッコ良くないし」
「冥王星と迷走性を掛けている事を評価してくれ」
「あんたが思ってるほど巧く言えてないし！」
「笑え笑え」
「笑いのツボ、黴てんじゃない？」