お迎え

8
8

きょうも気持ちよく目が覚めた。
朝ごはんは何だろう?
亡くなった妻の代わりに、娘が毎日ごはんを作ってくれる。さほど美味くはないがそれはそれで幸せだ。

娘は何か忙しそうに支度をしている。
そうだ。幼い頃の娘は寝坊助で、学校に遅刻しそうになっては、せかせかとしていたものだ。
おや⁇ あそこにいるのは妻ではないか! 娘の長い髪を三つ編みに結ってあげている。我が妻ながら、娘を見つめる姿は美しい。
こちらを見て微笑んだ。
お父さん。

お父さん、お迎えが来ましたよ。

娘の声がした。
そうか、俺もついに、妻の元へ…。

お父さん、お迎えだってば!
早くしてよ!

そんなに急かさなくても、寿命はもう直ぐ…。


お迎えが来たよ!
デイサービスに行きましょう!!!

あっそうか、きょうは土曜日、デイサービスの日か!
それにしても、お迎えって言葉、なんとかならんかね、うむ。
青春
公開:18/10/06 23:17

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容