真っ赤な制服

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俺がこの仕事を始めて何年経つだろう。
入社した当初から軽く30キロは太った。最初の数ヶ月は体作りから始まり、朝から晩までとにかくひたすら食べ、そして眠った。もともと大柄だった俺は、まさに巨漢と呼ぶにふさわしい体を手に入れた。
ここの社員は皆、風呂に入る事は許されているが、髭を剃る事は許されていない。初仕事を任される頃には、もみあげから顎にかけてびっしりと髭が生えそろい、もはや口がどこにあるのかもわからないほどだった。
ここに入社したのは俺が定年を迎えてからだ。こんなジジイを雇ってくれるなんてそれだけで有り難いのに、この仕事を始めてからは感謝しかされた事がない。こんなやりがいを感じたのは生まれて初めてだった。
今日はとても冷えるが去年ほどではない。慣れた手つきで荷物を袋に詰め込むと、肩に担いでソリに乗り込んだ。子ども達の笑顔を思い浮かべながらトナカイに声をかけ、俺は空に向かって手綱を引いた。
ファンタジー
公開:18/10/07 19:20
更新:18/10/08 00:12

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