ハーブの女王

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その女は「ハーブの女王」と呼ばれていた。サイケデリックな花柄ドレスを身に纏い、カールで甘く仕上げられた濡れ髪はしっとりツヤ感が色っぽい。ティーカップにつけられた唇には、真っ赤なルージュがひかれている。口元に笑みが浮かんでいるものの、瞳はどこか虚ろげだった。
そんな女の前に、一人の厳つい男が立つ。
「お誘い? それとも、アレ?」
女の「アレ」という言葉に過剰な反応を示した男は、胸元から一枚の文書を取り出した。
「警察だ。薬事法違反の疑いで逮捕する」
「あら、脱法ハーブって言いたいのかしら?」
「この甘ったるい匂い、私の鼻は誤魔化せんぞ」
「ただのラベンダーよ。鎮静効果があるの」
「合成大麻類似成分を混ぜているだろう?」
「濡れ衣だわ。飲んで確かめれば良いじゃない」

後日、男は逮捕された。女は笑う。
「ハーブティと間違ってハブ酒飲ませちゃったのよ。まさかあんな事になるとは……。男ってやーね」
ミステリー・推理
公開:18/10/04 23:59
更新:18/10/05 00:05
ラベンダーの冤罪 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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