とんでん君の憂鬱

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とんでん君は悩んでいた。明日は札幌雪まつりのフィナーレ。恒例のゆるキャラ大集合の日だ。札幌市非公認ゆるキャラのとんでん君はもちろん招待されてない。
が、これはチャンスだ。ゲリラ参加して人気者になってやる。
でも…。
とんでん君は重い溜め息を漏らした。緊張感のない顔や丸くて赤い頬は悪くない。問題は黒一色の軍服だ。屯田兵がモデルだから当然なのだけど。何かコンセプトを外れずに注目される方法はないだろうか…。
屯田兵…雪…ダイヤモンドダスト…。
これだ!

翌日、ステージでは地元で人気のゆるキャラ達が手を振っていた。
徹夜でスパンコールを服に縫いつけたとんでん君が隙を見てステージに走った。と、その時、急いで縫いつけたスパンコールが次々とほつれ、キラキラと空に舞った。
「ダイヤモンドダストみたい!」
子供の声にとんでん君は大喜びで手を振って、堂々とステージに上がった。

怒られて出入り禁止になった。
その他
公開:18/10/04 21:54
更新:18/10/04 22:02
スクー スパンコール衣装の屯田兵

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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